身体の声を聴く
長い間、身体は脳の道具のように扱われてきました。そして今、IT革命が脱身体を加速する中、身体は道具としての地位も失いつつあります。そもそも身体は脳の道具なのか?「頭脳/身体」の二項対立は暗黙のうちに頭脳を優位にします。だが、頭も身体の一部と考えると脱構築の別の景色が見えてきます。身体の声が聴こえてきます。
これまで私は身体に備わる力を再認識することを意図し、身体の軌跡を画面上にしるすことで作品としてきました。このシリーズでは高速連写のように身体の動きを捉え、体動のダイナミズムを描いています。
ゲーテは「建築は氷結した音楽」と言い、西田幾多郎は「書は凝結せる音楽」と言いました。そして思う、「書は凍結したアクション」ではないかと。